VBAやPythonなどプログラミング言語初学者が、まず写経をしてみることはよくあります。
既存のサンプルコードをタイピングすることで、仏教の経典を墨と筆で書き写す写経と似たような効果が得られる(可能性アリ)、というものです。具体的には、コードを一字一句写すことで、基本的な文法や言語の構造を理解できたり、他人のコードを書き写して、プログラム設計やロジックを学べたりするものです。
ところで、この伝統的な作法である写経にハマる女子大生がいるらしい、と聞きました。
しかも、書き写す対象が、プログラミング言語や般若心経ではなく、なんと会社四季報!??
一体どういうことなのか、調べてみました。
四季報の記事内容を、Excelワークシートへ
ひたすら書き写していくのが四季報写経です
まず、四季報写経とは何か?
全体概要については、一読でわかる「四季報写経の教科書」という記事が、note上にアップされていますので、そちらをご参照ください。記事全文を読むだけなら無料です。巻末の公式テンプレートをダウンロードする場合のみ、有料(500円)です。
概要を簡単に解説すると、四季報1社分の企業情報を、黙々とExcelワークシートの1行分に打ち込んでいくことが、四季報写経の作法です。
原典となる四季報は、ポータブル電源のようにデカくて重い紙版からでも、有料登録した四季報ONLINEからでもかまいません。
しかし、「教科書」にも記載がある通り、「数字をただ書き写すのではなく、深く考えながら」入力していくことが写経のキモですから、ONLINEからのコピー&ペーストなんてご法度ですよ。
↑ コレを、↓こうしていきます。
公式テンプレートによれば、書き写す項目は証券番号、会社名、創業年、上場年、業種、時価総額、特色、連結事業、海外比率、売上高、営業利益、純利益、従業員数、仕入先、販売先、業績記事、材料記事など、多岐にわたります。
公式テンプレートを使わなくても、白紙Excelワークシートに上記項目を手入力していけばよいので、四季報ONLINEの無料解放銘柄サンプルをもとに、Excelワークシートへお試し入力してみることができます。
これをくり返すことで、どんないいことがあるのでしょうか?
ただ四季報記事を読み流すだけでは得られなかった”気付き”をゲットできる可能性があるということです。
たとえば、「教科書」にも例示されているように、一部の企業は、創業からごく短期間で株式上場を果たしています。
・LINE ヤフー(4689)は1996年1月に設立、1997年11月に上場
・サイバーエージェント(4751)は1998年3月に設立、2000年3月に上場
このスピード上場の背景には何があったのだろうか? 急成長の原動力になったビジネスは何だったんだろうか?というような問いが、コツコツ書き写している間にわいてくるわけです。
同様に、パスタ・チェーン「カプリチョーザ」運営のWDI社大株主に孫正義氏が名をつらねていますが、「実は孫氏はかなりのパスタ好きなのではないか?」と仮説を立ててみたり…(仮説の真偽は未検証)。
ビジネスを良くする仮説づくりの前段階としてExcel写経による情報インプットは効果絶大
別に、大実業家の趣向を確かめる必要はないのですが、それなら四季報写経をする必要はないですよね?
以下の記事を読んでも、そういい続けられますか?
「四季報丸写し」が会社員人生に与える驚きの変化 -300社やれば絶大な効果を発揮-
ABEMAヒルズ注目特集「3カ月で1400社!?“四季報写経”行う女性」(2024年6月19日放送分)
特に、上記・東洋経済ONLINE記事中に紹介された山川隆義氏の体験談は、「閑職に追いやられた”仕事なし”サラリーマンが、四季報写経で大出世!!」というシンデレラ・ストーリーのようなお話です。
ここで強調されているのが、「どこの会社が過去に何をやったのか、それはうまくいったのか、結局ダメだった(上記記事引用)」のかという、膨大な情報インプット。それなくしては、成功するビジネスに向けた仮説作りはむずかしいというのが、四季報写経信者さんたちの共通した認識のようです。
この認識が正しいかどうかは、ご自身で試してみていただきたいのですが、試すにしても、莫大なコストがかかるわけではありません。四季報1冊(または、ONLINEのサブスクリプション)と、普段から使っているExcelだけです。
しかも般若心経の墨写経とことなり、Excelには、「文字列検索機能」があります。たとえば「バイオ」とか、「東アジア」とか、いくつかの気になるキーワードで後から企業名を検索してみると、一見まったく関係なさそうな業種・業態の会社が、”意外なところで結びつけられる”仮説も立てられるかもしれません。
最後に、普段は仕事で「商品台帳」とか「売上日報」などにしか使っていないExcelで、”会社員人生が好転”する可能性がもしあるとするなら、仮にその確率が数%であっても、手がけてみる価値があるのではないでしょうか?
まとめ;写経するなら、プログラムの他に四季報もね
Excelの文字列検索を駆使した仮説づくりで、会社員人生大逆転!?
たかが写経、されど写経。
日常のルーティンワークに忙殺されている多くのビジネスパーソンに足りていない情報インプットに、四季報写経が良い効果をもたらしてくれそうなことを、ご理解いただけたでしょうか。
般若心経の筆写とことなり、現代の写経はExcelを使ってタイピングすればよいだけなので、書き写す作業はかなりラクです。
ただし、Excel写経のキモは「ラク」であることではなく、「検索」できること。多くの情報をワークシート上に入力し終えたら、気になるキーワードでバラバラだった情報をつなぎ合わせて仮説を深耕させることにあります。
これこそ、”Excel写経でないと使えないワザ”ですね。
そして、それこそ、もしかすると”あなたの会社人生大逆転”につながる必殺技!?、かもしれませんね。