円安の影響もあって、最近は日本中いたるところで、外国からのお客さんを見かけますよね。
先日、秋葉原オタク・ロードにある某カレー・ショップに入ったら、2名の店員さんも、私以外10人弱のお客さんの中にも、誰ひとり日本人がおらず、【1人も】流暢(りゅうちょう)な日本語をしゃべれないことに驚きました(実話)。
多文化共生が当たり前になる中、コミュニケーションに”流暢な日本語”は、必須ではありません。スマホ・アプリも含めて、機械翻訳機が多数出回っていますから、ツールをうまく活用すれば、意思は通じます。
しかし、もし日本国内で何らかの販売ビジネスをしている人なら、外国へ販路を広げることはもちろん、日本語をしゃべらない日本在住者、日本旅行者も顧客(見込み顧客)へ取り込みたい、というアイディアがうかんでくるのではないでしょうか?
そんな悩めるビジネス・パーソンに朗報!
Googleスプレッドシートでは2020年以前から使えていたGOOGLETRANSLATE関数の”Excel版”が、ついに登場するようですよ!!
2024年11月末時点では、まだInsider Program向けのプレビュー版ですが、Microsoft 365版Excelへ組み込んで使うことができましたので、リポートします。
TRANSLATE(文章, 元言語, 翻訳ターゲット言語)というシンプルな構文
セル内で簡単に、翻訳文章をゲットできます
たとえば、小規模Web通販サイトなどで用意すべき簡単なFAQを準備します。
このワークシートで、たとえばセルB2に、
=TRANSLATE(A2, “ja”, “en”)
と入れるとどうなるでしょう?
セルB2には、A2の日本文を英文へと翻訳した結果が表示されました。
それでは、TRANSLATE関数の第3引数を、”en”(英語)から、”zh-Hans”(簡体中国語)、”de”(ドイツ語)、”ko”(韓国語)…という風にかえてみると、どうなるでしょうか?
世界中の言語へ、一気に変換されました。
Microsoft Translatorのクラウド翻訳で、対応可能な言語名とその言語コードは、同社公式サポート・ページに掲載されていますので、ご参照ください。
ちなみに、「上記FAQ程度の機械翻訳であれば、WebブラウザからGoogle翻訳を使えばいいんじゃない?」という疑問…、おっしゃる通りです。
しかし、メール文面や、10〜20もの文章を機械翻訳にかけるため、その都度Excel(やWord)をはなれてWebブラウザを立ち上げるのって、面倒くさくないですか?
TRANSLATE関数を使えば、原文が100文あっても200文でも、一発で翻訳結果を返してくれます。
スプレッドシート形式のソフトを一般に「表計算ソフト」と総称しますが、TRANSLATE関数は、それを「表翻訳」できるソフトに変えてくれるすぐれモノなのです。
なお、引数に入れる言語コードがわからない場合には、
=DETECTLANGUAGE(文章)
とすると、その文章の言語を、言語コードの形で返してくれます。 たとえば、電子メールで「โปรดบอกฉันเกี่ยวกับส่วนลดและโปรโมชั่น」という問い合わせが飛んできて、何語かわからない、という場合。=DETECTLANGUAGE(“โปรดบอกฉันเกี่ยวกับส่วนลดและโปรโมชั่น”)とセル入力すると、th(これはタイ語だ)という回答が返ってくるものです。
ターゲット言語をリストとして利用すれば、多言語化が一気に実現しますよ
先に「対応可能な言語名とその言語コードは、同社公式サポート・ページに掲載されています」とお伝えしましたが、これを活用すれば、顧客対応の多言語化がすぐに実現できます。
上図は、公式サポート・ページの言語テーブルをExcelワークシートへ転記したものですが、1列目に”Language”、2列目に”言語コード”が133行並んでいます。これを別表として持っておき、VLOOKUP関数で、該当する翻訳ターゲット言語の言語コードを自動取得するのです。具体的には下図をご参照ください。
原文はすべて日本語(”ja”)であると仮定して、B列に翻訳ターゲット言語の選択リストを作成します(Excelでもっとも標準的なドロップダウン・リスト作成方法である、[入力規則]→[リスト]→[元の値]に133言語名(“Language”)を範囲選択します)。
C列に、B列でリスト選択した言語名に対応した”言語コードを表示させます。これをTRANSLATE関数の第3引数(ターゲット言語)に代入すれば、B列の言語名を変えることで、動的に翻訳結果を変更させられるのです。
上図では、「商品の発送状況を教えていただけますか?」という原文に対し、簡体中国語への翻訳結果が表示されていましたが、リストの言語名をフランス語に変えると…、
翻訳結果が、一瞬にして、フランス語に変換されました。
まとめ;多文化共生社会も、TRANSLATE関数があれば生きられる!?
言語リスト133言語分を、Excelワークシート上で一括「表翻訳」
コロナ禍で一時鎖国状態になっていた期間をのぞき、それ以前からずっと、訪日外国人数は増え続けていました。
※CF.日本政府観光局の発表によると、2024年10月の訪日外国人数推計は331.2万人で過去最高
日常的に国際取引に関わる人でなくても、必然的に「外国人のお客様」と接する機会は、今後増えていくことでしょう。
しかし、”流暢な日本語”をしゃべらない人でも日本で働けるように、”流暢な外国語”を使えなくても、最低限の国際コミュニケーションを取ることはできます。
Excelでは、2024年11月現在まだベータ版(試用版)で、搭載できるExcelバージョンも限られていますが、もしTRANSLATE関数が使える環境をお持ちでしたら、ぜひ試してみてください。1つの資料を多言語化するのが本当にラクですから。
そして、早く一般関数化して、Excelユーザーならだれでも、「表翻訳」の快適さを実感できるようになってほしいですね!
一般公開が待てない方は、現時点では、Googleスプレッドシートで、Google翻訳から結果を返すGOOGLETRANSLATE関数が使えますから、自動翻訳の便利さを実体験してみてください。