

タイムスタンプや、イベント告知の年月日表示などは、西暦で表記されることがふえましたが、まだ和暦で記載されている書類もあります。
代表的なものとしては、免許証や一部の契約書類、「年度」で動いているお役所や学校の通知など。
よくお役所の申請用紙等記入台で、「ええっとぉ…、令和5年は西暦何年だったかなぁ?」と、スマホ・ブラウザ検索窓にポチポチ入力している人を見かけませんか?
書店で売り出されている紙の手帳を愛用する人なら、手帳巻末によく印刷されている早見表を使えば調べられます。
↓こんな感じのページです。


調べものが1〜2件なら、その都度検索しても時間がかかりませんが、ひんぱんに和暦←→西暦変換をする必要があるならば、ご自身のExcelで、紙手帳の早見表にあたるものを自作しておくと便利ですよ。アメリカ発のMicrosoft Excelだって、日本の和暦を扱うことがとても上手ですから。
和暦だって、日付のシリアル値
「3年後更新」など、日付の足し引きに使えます
まず簡単な事例から。
2025/4/1は、和暦になおすといつでしょうか?


正解は、令和7年4月1日ですね。セルの[データ表示形式]を和暦に変えているだけで、元は日付のシリアル値ですから、手打ち文字列とちがい、計算式に入れることもできます。
たとえば、令和7年4月1日に締結した”3年後更新の”契約書、次回更新日はいつでしょうか?


シリアル値から年情報を取り出すYEAR関数で、「令和7(2025)」年を取りだし、3年足してふたたび年月日の表示へもどすだけなので、一瞬で令和10年4月1日という回答がえられました。
Excelなら、和暦の「元年」表記にも対応可能です
では、2019/4/1は、和暦になおすといつでしょうか?


「ん? 平成31年って、令和元年のことじゃないか?」
と考えたアナタ、当時のことを覚えてますかぁ〜!!
(ワタシは赤ん坊でした…、って、年齢サバ読みすぎだろ (汗;))
元号法の特例により、平成から令和に元号が変わったのは2019年の5月1日。当時の菅官房長官が「令和」と書かれた色紙をかかげて新元号を発表した2019年4月1日は、まだ「平成31年」だったわけですね。
Excelで2019/5/1を和暦になおすと、ちゃんと令和に切りかわります。


[セルの書式設定]ダイアログボックスで、[表示形式]→[日付]→[カレンダーの種類:和暦]を選択した時、[1年目の表示に元年を使用する]チェックボックスをチェックしておくと、「令和1年」は、和暦表記として自然な「令和元年」に切りかわります。




さすがExcelさん、日本の元号法にもよく精通しておられる!
これなら、紙手帳の巻末にあるような西暦和暦早見表をExcelワークシート上で再現することも簡単ですね。ちなみに、令和元年から令和15年までの早見表をExcelワークシート上に再現したものがこちらです。


この時の和暦セル表示形式を確認すると、[$-ja-JP-x-gannnen]ggge”年”というユーザー書式になっています。これが、1年を元年と置きかえられるExcelの元号表記コマンドなのです。
関数式で和暦から西暦へなおす場合は、「元年」表記に要注意
前章まで、西暦を和暦に置きかえる方法を説明しましたが、実際には、お役所窓口での事例のとおり、和暦に対応する西暦をさがす作業の方が多いのではないでしょうか?
あらかじめ、前章早見表で列をひっくり返したものを持ち歩いていれば、すぐに検索可能です。しかし、早見表がなくても、Excel関数式を1行書けば、和暦は一発で西暦に変換できます。その事例を見てみましょう。


上図では、セルD4に
=VALUE(CONCAT(A2:B2,”年5月1日”))
と入力して、「令和⚪︎年」から日付のシリアル値を算出し、その表示形式を「西暦年」表示だけにしているものです。
月日の情報は、単に日付のシリアル値を求めるためにダミーで入れているので、どのような数値でもかまいません。ただし、2019年の場合は、4月30日以前がまだ平成時代でしたので、5月1日という日付を代入しています。
これで、和暦を先々の数値へ変えても、的確な西暦を戻してくれる関数式が出来上がりました。


※ちなみに、元号の性質上、VALUE関数で3桁元号から日付のシリアル値を求めようとすると、エラーが返されます。


ただし、Excel関数を使って和暦から日付のシリアル値を算出する際に、もう1点注意すべきことがあります。
Excel関数には、文字列「元年」を「1年」と自動的に置きかえる機能がありませんので、上図のワークシートで「令和元年」としてしまうと、やはりエラーが返されます。


もちろん、IF関数などで条件を分岐させて、「もし”元”字を見つけたら数字”1”に置きかえる」などの処置をとれば、上図の和暦西暦コンバーターは機能します。そこまでの手間をかけるかどうかは、要変換データを何件かかえているか、日付足し引きの計算が必要かどうかなどの作業重要性を考慮しながら、決めるのがよいでしょう。
まとめ;まだ和暦西暦変換を手動検索しているのですか?Excelにまかせちゃいましょうよ(但し「元年」表記には気をつけて!)
いまでも時々みかける和暦表記の書類。1〜2件なら、その都度手動検索してもあまり時間ロスにはならないでしょうが、「スタッフ全員分の書類作成」や、「次回更新年月日の算出」といった作業とかさなると、どうにかラクしたくなりますよね。
そんな時は、いつも仕事で使ってるExcelにまかせてしまいましょう。日付のシリアル値が分かれば、日本の元号法に適合した、正確な和暦西暦変換ができます。
ただし、文字列操作の関数を使って元号から日付のシリアル値をもとめる場合には、注意が必要です。「令和元年」「平成元年」などの”元”の字は自動的に”1”に置きかえられないので、そのまま日付のシリアル値化しようとしても、エラーになります。その場合は、入力数値を最初から、「元年」のかわりに「1年」としておくか、IF関数などによる置きかえを準備しなければいけません。 しかし、そこだけ気をつけておけば、和暦西暦変換作業が何十件、何百件あってもラクに完了できますので、もうお役所の記入台でオロオロしなくてすみそうですね(スマホにExcelアプリを入れておけばなおさら!)。



手作業で当時のことをなつかしむ余裕がほしい人はともかく、書類づくりをサッサとすませてしまいたいなら、ぜひ一度、Excel和暦西暦コンバーターを自作してみてください。関数式1つだけで、あなたにも簡単に作れますよ。





