

2025年6月に、Gスプレッドシート公式の、強力な新関数がリリースされました。
その名も、
「AI関数」!!
生成AI大はやりの中、この直球すぎる関数名って、どうですか?
なんとなく、「使ってみたら便利そう?」とか、「Excelにもあったらいいのに…」とか思ってしまいませんか? そこで、実際にGスプレッドシートで、この新関数の使い心地を試してみました。
AI関数は、引数に記載されたプロンプト(命令文)をGoogle Geminiへ投げて、回答を表計算ソフトのセルへと返します
関数の構文は、
=AI(“プロンプト”, [セル範囲])
となり、”プロンプト”に記載された文言をGoogle Geminiへ投げ、Geminiから得られた回答を指定のセルへ表示します。
Excelでも、たとえば「ChatGPT for Excel」のようなサードパーティ製アドインを追加すれば、生成AIを介して、同じようなことができます。
ただし、これらのアドインと異なる点は、表計算ソフト開発会社が直接リリースした、「公式の」関数だということ。しかも、参照先の生成AIも自社サービスですから、さぞ快適なAI検索関数に仕上がってるんだろうなぁ…と、期待は高まるばかりです。


あれ? いきなりの肩すかし…。
2025年8月現在、この関数は、まだ日本語対応されていません。したがって、プロンプト(命令文)を英語で読み書きすることが苦にならなければ、日本からも使いこなすことができますが、英語の読み書きが面倒くさいと思う人は、日本語対応が完了してから使いはじめてもよいでしょう。
また、冒頭の「窓の杜」記事によれば、AI関数を使用可能なGスプレッドシートのバージョンは、Workspace、またはGoogle Geminiにおいて、
Business Standard
Business Plus
Enterprise Standard
Enterprise Plus
Gemini Educationアドオン
Gemini Education Premiumアドオン
Google AI Pro
Google AI Ultra
Gemini Businessアドオン
Gemini Enterpriseアドオン
など、おもに有料課金サービスを利用しているユーザーのようです(一部、Workspace Labs 無課金ユーザーなどにも開放されている模様)。
筆者はGoogle Gemini Proのサブスクリプションに加入していましたので、日本語プロンプトは使えなくても、気を取り直して、この関数を使ってみることにしました。
まず、AI関数を使用するために、Google アカウントの優先言語を、英語に変更しました。


※注;Google Chromeブラウザから、Amazonなどのグローバル通販サイトを利用している場合には、Googleアカウントの優先言語を変更すると、通販サイト売り場がAmazon.co.jp(日本版)からAmazon.com(米国版)へ、自動リダイレクトされる場合もありますのでご注意ください。
その上で、Gスプレットシートのセル内にAI関数の構文通りに英文プロンプトを入力すると、そのプロンプトに対する回答がGeminiから取り出され、関数の指定するセル範囲へ返してくれました。


ちなみに、プロンプトを日本語で書くとエラーになりますが、「日本語で返して」という英文プロンプトは受け付けてくれます。


AI関数でできることは、テキスト生成・要約・分類など
前章の事例は、単に電子メール文案をGeminiに作成してもらっただけなので、表計算ソフトを使う必然性はありません。生成AIWebサイト入力窓へ同じプロンプトを入力すれば、同様の結果をえることができるでしょう。
「表計算ソフトと生成AIをセットで利用した方が効率が上がる」と考えられるケースには、「分類」などがあります。
たとえば、以下のサンプルをご覧ください。


ある製品のレビューがあるとします(AI関数は現在、日本語非対応ですが、参考まで英日対照の表としました)。上図はレビュー件数が3件ですが、これが実際には数十件、数百件あるとしたら、はたして全体的に顧客の評判がよいのか悪いのか、即座に判断できますか?
AI関数で分類すると、その判断のヒントをもらえます。
たとえば、B1セルの左どなりに、
=AI(“summarize the review to about 15 words”, a1:b1)”)
※a1:b1の範囲のレビューを、約15ワード程度に要約して
と入力すると、AIが長文のレビューを読み込んで、それぞれの要約文を返してくれます。


同じように、B1セルの左どなりに、
=AI(“categorize the review positive, negative, neutral”, a1:b1)”)
※a1:b1の範囲のレビューを、positive(肯定的)か、negative(否定的)か、neutral(中立)か分類して
と入力すると、各レビューに対してAIが3種類のフラグをつけてくれます。


AI特有のハルシネーション(事実に基づかない情報が返されること)については、常に目視チェックしておく必要があるものの、ここまでのヒントをAIがくれるならば、レビュー全体から顧客の評価を推定することも、即座にできるのではないでしょうか?
まとめ;Gスプレッドシート公式「AI関数」は日本語に未対応(2025年8月現在)ですが、分類や要約など、テキスト分析の強い味方になってくれます
結論としては、今すぐGスプレッドシート公式のAI関数を覚えたり、使う準備をする必要はなさそうです。日本語対応の導入を待ちましょう。しかし、いざ日本のオフィスで使えるようになれば、テキスト生成ばかりではなく、要約・分類など、幅広い使用法が考えられます。



最後に、ここまでの検証を全てGスプレッドシートで行ないましたが、我々エクセリーナ!?(Excel大好き人間)からすると、日本語で使いまわせるExcel版公式AI関数が早く欲しいところですね。期待しつつ、ゆっくり待ちましょう!!





