すこし前(いや、だいぶ昔)の若者だったオッサンが、ついつい「これだから近頃の若いもんは…」と苦言を吐いてしまいそうになるトピックスが、2件続けて新聞に出ました。
(ニュース記事URLはすぐ変更になりますので、リンクせず、見出しのみの転載ご紹介とさせていただきます。興味がありましたら、ご自身で検索してみてください。)
「20代でマイホーム…持ち家率3割超えのワケ」「※※銀行、住宅ローンを40年に延長 若年層も組みやすく」(いずれも2021/07/19 日本経済新聞電子版より)
おいおい、学校を出て、社会人になってから数年、家を買うより先に、まだやることがいっぱいあるだろう…というツッコミはおいておきます。この記事では、Excelのゴールシーク機能を使って、若者が長期の住宅ローンを組むことがいかに大きいことになるのか、ということをシミュレーションしてみましょう。
ゴールシークの基本的な使い方
まずは、基本的な使い方から。たとえば、某社が自社で運営している宣伝用webサイトに目標PV数を設定するとします。
現在、1日あたり平均15,000PVのアクセスがあるとして、100万PVを獲得するためには、約67日かかります。
次に、逆算として「1ヶ月(30日)」で100万PVを獲得するには、日々どれだけのPV数が必要かをシミュレーションしてみましょう。
所要日数データを入力すべきB3セルを選択して、[データ]タブ→[What-If分析]→[ゴールシーク]をクリック。
[ゴールシーク]ダイアログボックスで、「目標値」に30を、「変化させるセル」にはPV/日を出力すべきセル番地「B2」を入力して[OK]。
[解答が見つかりました。]1日あたりに必要となる獲得PV数は、約33,333となります。
ゴールシークで住宅ローンの返済総額を試算
ここまでは、ゴールシーク機能を使わなくても、算数の計算式で簡単に試算することができます。
一方で、住宅ローンなどの場合には、借入期間中の金利負担が発生します。そこで、財務関数の1種である PMT関数(一定利率の支払いが定期的に行われる場合の、ローンの定期支払額試算関数)とゴールシークを併用することで、コトの重大さをシミュレーションしてみましょう。
たとえば、20代某若者クン、都内にマンションを購入し、借入金額5,000万円、全期間を通じた年利は1%で40年間(480ヶ月)の住宅ローンを組んだとします。(実際には、学校卒業後数年で、これだけの与信を金融機関から得られることは難しいと思われます。)
定年間際まで40年間、ずっと月々126,428円ずつ返済し続けて、返済総額は60,685,450円にものぼります。(金利負担だけで1,000万円超!)
せめて、金利負担を元本の1割程度(500万円)程度に抑えたい場合、返済期間をどれくらい短縮しなければならないかを、ゴールシークから逆算してみます。
たとえば、20代にはキツいのを承知で、月々のローン返済額を25万円とします。
でました!
約18年間、219ヶ月の返済期間で、総返済金額54,721,971円(金利負担約470万円)。いずれにしても、若者にとっては、一生を左右する大きなお買い物であることには違いありませんね。
まとめ
逆算から数値の全体像を把握する力をつけよう。ゴールシークは、他の関数との絡め合わせも可能です。
すこし前(だいぶ昔)の若者として、個人的に「家を買うな」とか申し上げるつもりは、毛頭ございません。ただ、金融機関としては、今のところ借金の優良な借り手が住宅ローン・ユーザーくらいしか見当たらないので、必死になって貸し込もうとします。それを鵜呑みにせず、きちんとExcelなどで、コストの大きさをシミュレーションしてから動いてみても、遅くはないと思いますよ。
Excelの勉強も含め、20代はまだ、勉強や自己投資をすべき領域がとても広いと推測されます。きっちり仕事や勉強をこなし、社会の中でのステージ・収入を大きく上げてから、より大きな買い物をする、ということもできるかもしれません。ぜひご自身の人生をゴールシークして、大志を抱いてみていただければと、老婆心ながら(?)、エールを送ります。