以前、このシリーズでもご紹介(「Microsoft 365 のExcelユーザーに朗報! 新関数XLOOKUPを活用しよう」)した、とっても便利な新関数XLOOKUP。これまで、サブスクリプション型のSaaSサービス Microsoft 365でしか使用できなかったのですが、ついに永続ライセンス版のOffice 2021にも搭載されるようになりました!
サブスクリプション型での契約・利用に抵抗を感じる方や、セキュリティ上、ネットへ常時接続せずに使うことを想定したパソコンなどを使う人には朗報ですね。
この記事では、マイクロソフト公式HPですでに公開されている情報をもとに、新Excelの便利機能をご紹介します。
Excel 2021 for Windowsの、主な新機能
(1)XLOOKUP
これが、おそらくヘビーユーザーの間で、もっとも待ち望まれていた新機能ではないでしょうか? ネット民の間でも、騒然となっています。
詳しい使用方法は、先の記事(「Microsoft 365のExcelユーザーに朗報! 新関数XLOOKUPを活用しよう」)をご参照いただきたいのですが、最頻出Excel関数であるVLOOKUPやHLOOKUPを、「もはやいらない!」とまで断言するユーザーも現れています。
(2)LET関数
「計算結果に名前を割り当てます。これにより、中間計算、値、または定義名を数式内に格納できます。」
(マイクロソフト公式HP より引用)
つまり、分かりやすく言い換えると、
「関数の中に関数をさらに入れ子にして複雑にしたり、計算ミスを誘発するを避けるため、VBAプログラミング「変数の定義」のように、関数内(数式内)でのみ使用できる名前(変数)を決めることのできる新関数」なのです。
基本的な構文は下記のようになります。
=LET(変数の名前1, 「変数の名前」に割り当てる値1, 変数を利用した計算方法1,...)
この1関数で名前づけをできる変数の総量は126個となり、名前の数だけ、値、計算方法の引数を指定する必要があります。
(3)XMATCH関数
「配列またはセル範囲内で指定された項目を検索し、項目の相対位置を返します」(マイクロソフト公式HP より引用)
これも分かりやすく言い換えるならば、XMATCHは従来からのMATCHの機能拡張版となります。どの部分が機能拡張されたかについて、構文を比較します。
=MATCH(検索値, 検索範囲, [照合の種類])
=XMATCH(検索値, 検索範囲, [一致モード],[検索モード])
となり、両者の大きな相違点は、
- MATCHで255文字までだった検索値の字数制限が、XMATCHではなくなったこと
- MATCHで完全一致データを探す場合には[照合の種類]を指定する必要があったものを、XMATCHでは不要としたこと(規定では「完全一致」となり、引数を省略すると完全一致データ検索をします)
- 省略可能の[検索モード](先頭の項目 or 末尾の項目 or バイナリ検索)を指定できるようになったこと、
の3点です。
(4)OpenDocument形式(ODF)1.3のサポート
OpenOffice.orgやLibreOfficeなど、他のオフィス・ソフトと連携を強化するため、OpenDocument形式1.3をサポートするようになりました。一社内のみで完結するドキュメント作成であれば、とくに意識する必要のない機能ですが、広く社外とつながる仕事に使うとなると、幅広いファイル形式への対応を求められるケースは多くあります。無料オフィス・ソフトを活用する小規模事業者や個人事業主、テレワークや在宅ワークなどで作られた資料をExcelへ読み込む場合などに役立つ拡張機能です。
まとめ
XLOOKUP関数が使えるようになるだけでも、永続ライセンス版Office 2021をゲットする価値はあり!!!ただし、ユーザーとしては、製品ごとで利用可能な機能バラつき無し!が本当は望ましいです。
いままで、VLOOKUPのExcelデータベース成形に四苦八苦していた方、検索値が「右でも左でもお構いなし」のXLOOKUP関数、使ってみたいですよねぇ。これが普通に使える、というだけでも、永続ライセンス版のOffice2021に乗り換える意義は充分あります。上記に挙げた以外にも、Office 2021で改善されている機能はたくさんあります。
とはいえ、Office 2019以前と比べると、若干リボンのビジュアルが変更されてしまったり、サポート対象期間が【5年間】に縮められてしまったり、ユーザー側としてちょっと不満なポイントも、いくつかあります。
本来であれば「サブスクリプション契約が好きな人はMicrosoft 365で、そうでない人は永続ライセンス版で」というだけで、機能差がないのが最も望ましいのですが、残念ながら現状はまだそうなってはいません。
そこで、現在永続ライセンス版をお使いの人(or 企業)は、Office 2021永続ライセンス版の購入が、業務改善効果に見合うだけの投資になるかどうか見極めた上で、導入検討されることをオススメします。