前回「話題のChatGPTを、表計算ソフトで利用してみました」でご説明したように、AIチャットボット「ChatGPT」を、Microsoft Excel上で直接利用するアドインなどはリリースされていません。
前回はGoogleスプレッドシートとこのAIツールを連携して使用してみましたが、ChatGPTがExcelにまったく役立たないか? というと、そんなことはありません。ChatGPTは、むしろ「Excelがかなり得意」なのです。なぜなら、AIがサービス精度を上げるために積みかさねる”機械学習”で、Excel関数やプログラミングを、とても深く勉強しているからです。一般ユーザーでは普通思いつかないようなExcel活用法も、ChatGPTは”事例”として蓄積しています。
そこで、この記事では、ChatGPTを普段のExcel業務にどう活用していくか、というポイントについて解説します。
ChatGPTは、あなたのそばのExcel職人
あなたの職場に、Excel職人はいますか?
1人いてくれると、とても便利ですよね(失礼しました!)。
普段からとてもよく勉強していて、ちょっとわからないことを質問すると、「ああ、それはね…」と言って、聞いた倍以上の便利情報を返してくれるExcelエキスパートです。
願わくば、同僚のExcel職人が、嫌味な人でないことを祈りますが…「なんだ、そんなことも知らないんだ」という枕詞(まくらことば)から、お説教がはじまったらゲンナリしますものね。
ChatGPTは、”嫌味を言わないExcel職人”だと考えてもよいでしょう。
チャット画面で、わからないExcel関数の使い方について質問してみてください。
たとえば、簡単な事例ですが、3教科の平均点を求めるExcel関数の書き方をChatGPTに聞いてみましょう。
ほらね。ChatGPT職人は、嫌味もいわず、小数点切り捨て関数のついでに、四捨五入関数の使い方も教えてくれましたよ。 そして、各関数エディタ右肩のCopy codeをクリックし、Excelでペースト(貼り付け)をすると、そのままExcel関数式として使用できます。
Excel関数をつかう、そもそもの目的について質問してみましょう
ところで、そもそもなんで仕事でExcel関数を使うんでしたっけ?
資料(書類)をまとめるためですよね。その資料(書類)は、なんのためのものですか?
業務上の必要性や、作業時間の効率化などを考えて、つくられるんですよね。
それならば、ぜひChatGPT職人に「エクセルでこの(自分の)仕事をするには、どうしたらいいですか?」と質問してみてはどうでしょう。きっとまた、余計なお節介を焼いてくれますよ。
たとえば、以前にご紹介した「検索関数FINDひとつでの定性分析」の事例。スマートウォッチ(Apple Watchとは別の商品です)に対するネガティブなユーザーレビューから、FIND関数で「不満ポイント」をさがす仕事でした。
その時には、いくつものFIND関数を並べて比較をしましたが、これもChatGPT職人に「ねぇ、ねぇ、どうやるの?」と聞くと、一発で教えてくれます。
たとえば、100件以上のネガティブ・レビューをざっと見渡したとき、「バッテリー」や「電池(の持ち)」に問題がありそうだぞ、という推測をたてたら、この点に不満をもつ人の人数をかぞえればよいのです。
はい、回答!
関数エディタ右肩のCopy codeをクリックして、Excelの、たとえばB1セルなどにペースト(貼り付け)すると、”バッテリー”もしくは”battery”という単語を含むネガティブ・レビューが112件中15件(1割強)だったことが一発でわかりました!
業務上、調べたいキーワードを、”バッテリー”から、”音楽”、”サポートセンター”、”価格”など、他の気になる用語に置き換えてみれば、キーワードごとのユーザー関心度が、簡単にくらべられる、というわけです。
なかなかやりますね、ChatGPT職人!
まとめ
ChatGPTは、オンラインで質問できるExcel職人
Excelで「やりたいこと」「わからないこと」はどんどん質問してみましょう
前回(「話題のChatGPTを、表計算ソフトで利用してみました」)でも例をあげたように、この職人さん、時々ウソをつきます(トンチンカンな回答をすることがあります)。
しかし、そこを作業者であるあなた自身がきちんとチェックできれば、ChatGPTは、”お手伝いさん”としては、とても優秀なツールです。業務効率化の目的にそった回答が得られるまで、何度も質問しなおすことができますし、嫌味をいわれる心配も全くありません。
もしExcelの使い方で不明な点があるならば、これまでのような「Google検索」、「マニュアル本」、「Excelヘルプ活用」以外に、ChatGPT職人さんに聞いてみるという手も、使ってみてはいかがでしょうか?
きっとこの職人さん、あなたのために、いろいろお節介を焼いてくれますよ。