ダッシュボードの自作を考えたことはありますか?
いそがしくて、手の込んだものを作るヒマなんてありませんよね。
編集もむずかしそうだし….
Microsoft Supportでも「Excel でダッシュボードを作成し、Microsoft グループで共有する」というテーマで、作り方を詳細に解説した一般公開ページを用意しています。 しかし、その見本がこれではねぇ…
見た目カッコよくて、プレゼンシートにも重宝しそうですが、自分で作るとなると(英語だし)、尻込みしませんか?
難解そうにみえますが、Excel標準機能を使っているので、Microsoftチュートリアルにそって練習すれば、同じものは誰でも作れます。
今回は、いきなりMicrosoft見本レベルの複雑なものを作ろうと気負わず、ごく単純な1事象観測用ダッシュボードを作成するところまで、お手元のパソコンとExcelでやってみましょう。 完成形サンプルは以下のようなものです。
ダッシュボードの役割って、なんでしたっけ?
英単語dashには、「突進する」のほかに、「たたきつける」という意味があります。
ダッシュボード(dashboard)の語源は、馬のドロはね、石はねをよけるため、”馬車運転席に立てた板”のことを意味していました。モビリティ時代となり、自動車の前席正面にある計器/部品全体をまとめて、「ダッシュボード」と呼ぶようになったのです。
IT分野では、自動車の計器類からの連想で、「複数情報源からデータを収集し、概要(サマリー)をまとめて一覧表示する”機能”、”画面”、”ソフトウエア”など」のことを、ダッシュボードと呼びます。
つまり、業務上必要なデータや情報だけを、(検索や画面遷移することなく)一覧できる表示方法のことを指しています。
しかし、業務用Webサービスのトップ画面にしても、金融機関などのマイページにしても、機能がどんどん複雑化するため、わかりづらいボードになっている場合が多くありませんか?
それは、あらゆる顧客・ユーザーへ、より多くの情報を届けようと盛り込むため、ビギナーに「必要な情報はどれ?」かがわからなくなってしまうことから生じます。
そもそも、必要な情報を一目でみる表示方法は、画角の広いPCモニタよりも、スマートフォンなど小さな画面でこそ、必要になります。5〜7インチ前後の小さな画面で表示できる情報には限度がありますから、既成のダッシュボードでは、情報があふれてしまうこともあるでしょう。
そこで、定期的にウォッチしておきたい情報は、自分でExcelダッシュボードにまとめておいて、スマートフォンのMicrosoft 365アプリから確認すればよいのです。
時系列の数値推移は、スライサーで表示きりわけ
ためしに、以前ご紹介したRSS(リアルタイムスプレッドシート)を使って、気になる株式公開企業の月間株価推移を収集→日別推移をスマートフォンで確認するだけの、カンタンなダッシュボードを作ってみましょう。
Webから収集した、オリジナル情報がこちら ↓
この表から(株価)終値と出来高の月間推移を表す2軸グラフを作成します。
表はテーブル化しておくことで、Excel標準機能であるスライサーを使って、数値を日ごとに切り替えられるようになります。
これで部品はそろいました。あとは、デザインを作るだけです。
ダッシュボードの肝は、「検索しない」「スクロールしない」で一覧できることですから、5〜7インチのスマートフォン画面で表示できる内容は、「タイトル」「銘柄などの基本情報」「銘柄名」「日付」「終値」「出来高」「グラフ」程度でした(デフォルトのセルサイズで、おおよそ5〜7列40行程度)。
色合いやフォント種類・サイズはお好みでアレンジするとして、数値自体は、スライサーで日付選択をして、テーブルデータを表示させます。
すると、スライサーで日付選択するごとに、ダッシュボードの表示データもすべて切り変わるようになります。
↓こんな感じになりました。
本当に必要な自作ダッシュボードは、非公開情報の携行用
ここまで、作例をご紹介するために、株式公開企業の一般データを使って、Excelで加工してみました。
しかし、ここまでの情報であれば、なにもわざわざダッシュボードを自作しなくても、証券会社などのWebページで、いくらでも調べられるはずです。
本当に必要なダッシュボードは、むしろ非公開情報を整理するために必要ではないですか?
たとえば、おなじファイルについて、見出しだけを変えてみました。
表そのものの数値は変えていないダミー資料ですが、このような資料を、業務中よく見かけませんか?
あなたの営業ノルマや、支店の売上実績は、Web上どこを探しても一般公開されているものではありませんから、資料はExcelで自作するしかありません。
パスワードロックのかかった業務用スマートフォンで持ち歩く情報としては、Microsoftの見本
よりも、表示項目や機能を徹底的に絞りこんだ
この程度の情報の方が、必要なデータをすぐに取り出すことができるんじゃないでしょうか。
まさに駆け出す(ダッシュ)ための板/情報(ボード)として、自分にとって本当に必要な情報だけを取り出せるモバイル用ダッシュボード、ぜひ一度ご自身で自作してみてください。