日々の業務に、生成AIを活用していますか?
“Yes”という人も、”No”という人もいるでしょう。
この点に関して、ビジネス・ブレークスルー大学大学院のWebサイトに、興味深い記事が公開されていましたので、ご紹介します。
【データから読み解く】日本企業の生成AI活用状況 (谷口賢吾氏、2024/2/13)
くわしくは、上記リンク先の本文をご参照いただきたいのですが、気になるポイントは、「(企業の)生成AI導入率;米国73.5%、豪州66.2%、日本18.0%」「(役職別)日常的に活用する人の割合;管理職層 世界:日本=46%:19%、現場従業員層 世界:日本=20%:13%」という調査結果です。
ただ生成AIを使いさえすればよい、ということではなく、AI導入の必要がない(導入できない)職種も多数あるでしょう。ただし、日本が世界各国の職場にくらべて特殊だとは考えづらく、2022年秋にChatGPTが一般公開されてからわずか2年間で、なぜここまで導入率に差が開いたのかは、考えてみる必要がありそうです。IBM調査リポートによれば、AI導入への阻害要因は、「スキルや専門知識の不足」であり、続いて「データの複雑さ」や「倫理的懸念」「コスト」なども挙げられます。ここでも、以前にご紹介した「企業は人に投資せず、個人も学ばない」(ABEMA TV「未来人材ビジョン」)日本人気質が出てしまっているようですね。
とはいえ、日常業務で忙殺される中、何から手をつけるべきかわからない、という人も多いでしょう。そんな悩めるビジネス・パーソンに朗報です。Microsoft社が、パソコン・ガイド「できる…」シリーズのインプレス社と組んで、法人向けMicrosoft 365ユーザーへ向けて「できるCopilot for Microsoft 365スタートガイド(特別版)」というPDF電子書籍を無料配布しています。
5分で読み切れるシンプルな入門書なので、ぜひ一度ダウンロードしてみることをオススメしますよ。
申し込みフォームはこちら。
注;申し込みフォームに「ビジネス用メールアドレス」「職場の電話番号」「会社名」などを入力することが必須なので、あくまでもビジネス活用のためのガイド本であることがわかります。
基本的な使い方からセキュリティ・ポリシーまでまとまったコンパクトな1冊
2024年9月現在、Copilot for Microsoft 365を利用可能なオフィス・ソフトのバージョンは、
・Microsoft 365 E5/E3
・Office 365 E5/E3
・Microsoft 365 Business Standard/Premium
・Microsoft 365 A5 教職員用
・教職員向けMicrosoft 365 A5/A3
・教職員向けOffice 365 A5/A3
などとなっています。
そして、本書では「Copilot for Microsoft 365のライセンス料は、1ユーザーあたり月額30ドルですよ」と料金提示されていますので、有料課金ユーザーをふやすための販促冊子だといえます。
しかし、いますぐ有料課金をする予定がない人でも、「そもそもCopilotって何?」「どう使うの?」という素朴な疑問からセキュリティ面に関する情報まで、カンタンに確認することができますので、チェックしておくとよいですよ。
たとえば、本書で紹介されている業務効率化の事例としては、
・メール本文の生成
・メール要約
・会議を要約、把握
・タスク整理
・原稿のドラフト
・長い資料の要約
・市場動向のWeb調査
・スライド自動生成
・フォント/デザイン修正
・データ分析
・グラフ作成
などが挙げられています。
その主なケースについて、紹介動画(一部、ナレーションは英語のものですが)へのリンクも掲載されていますので、YouTubeデモ動画で挙動を確認しながら、「できること」を確認できます。
また、特にビジネスで生成AIを使用する場合には、データ保護なども重要な着目ポイントになります。その点についても、本書内リンクをたどり直接Microsoft社の「商用データ保護」ポリシーや、「責任あるAIの基本原則」Webサイトで1次情報を確認できますので、社内検討資料として、押さえておくべきでしょう。
“習うより慣れろ”のCopilotLabも活用してみましょう
特に、まだCopilot for Microsoft 365を導入していないユーザーにも使い勝手のよいのが、本書内で紹介され、URLリンクもはられているCopilot Lab。生成AIで期待する反応を得るためには、プロンプト(指示/命令文)を効果的に記述する必要がありますが、その実例を、Web上で実際に訓練することができるサービスです。
「試用が可能なプロンプト」タブに、おそらく日常業務でよく使われるであろうプロンプト例が紹介されており、それをコピーしてCopilot検索窓に入れれば、AIが該当するOfficeソフトを動かして成果物を作り上げます。
※Copilot for Microsoft 365に有料課金していない場合には、CopilotからOfficeソフトを直接操作することができませんが、Edgeブラウザ上のCopilotアイコンから入るMicrosoft Copilot (for Web)では、各プロンプトに対する該当ソフトの操作方法を、ていねいに説明してくれます。
まずはCopilot Labのプロンプト例を自分なりにアレンジし、実際にCopoilotでの回答を確かめてから、自分の業務に役立ちそうかどうかを見きわめてみてはいかがでしょうか?
まとめ;まだ仕事で生成AIを使ってませんか?それなら、無料リソースを活用して、実際に操作してみましょう
CopilotにしてもChatGPTにしても、ユーザーにとっては「対話型AI」のイメージが強いので、チャット(おしゃべり)ツールとして使うだけの人もいるでしょう。しかし、このツールをうまく活用できたら、「電子メール」「報告書」「長時間の会議」といった仕事上の阻害要因を軽減してくれるかもしれない、力強い”副操縦士”役になるんですよ。
特に、AIがオフィス・ソフトを直接操作して成果物を仕上げてくれれば、ユーザーはプロンプト(指示)を考えるだけで、業務が完結してしまうかもしれません。そこまでのサービスを受けるには、ビジネス版の有料課金をしなければいけませんが、まずは出費の前に無料リソースをうまく活用して、有用性をご自身で評価してみてはいかがですか?「できること」「安全性」「プロンプト(指示)の出し方」などを、自分の業務用パソコンで実際に試してみることができますよ。
アメリカでは4人中3人(73.5%)が、日本では4人中1人(18.0%)が仕事に使う生成AI。日本でも、この先いつアメリカのように利用率ー非利用率の割合が逆転するかわかりませんが、もし自分が「最後の1人」になってしまったら、ヤバいと思いませんか…?
まだ無料で試せることはいろいろありますから、いまのうちに活用方法をおぼえて、プロンプト(指示出し)作成になれておきましょう!